こんにちは、Tsubakiです.*
着物の仕立て方には手縫いとミシン縫いの2通りありますが、初めて自分で浴衣や着物を縫うとき、
- 手縫いとミシンどっちで縫えばいいんだろう?
- 手縫いとミシン縫いはどう違うの?
と、このような疑問が出てきませんか?
この記事では、上のような疑問を持つ人に向けて、以下の内容を詳しく解説します。
- 手縫いとミシン縫いそれぞれの特徴
- 手縫いとミシン縫いのメリット・デメリット
- どちらで縫えばいいのか選び方のポイント
この記事を最後まで読むことで、手縫いとミシンの特徴を理解しやすくなります。
また、それぞれのメリットとデメリットを知った上で、今後きものをどちらで縫うか、参考にしていただけたら嬉しいです。
それでは早速、見ていきましょう!
手縫いとミシンの特徴と、選び方のポイント
まず、手縫いとミシン縫いのそれぞれの特徴を解説した後、その特徴をもとに、どちらで縫えばいいのか選び方のポイントをご紹介します。
手縫いの特徴
手縫いで着物を仕立てる際、針は布に対して斜めに入ります。
ミシン針よりも細い針を使って、基本的には1本の糸で縫います。
縫う場所によって縫い目の強度を調整しながら仕立てるので、布への負担を最小に抑えることができる縫い方です。
手縫いはミシン縫いより時間も手間もかかります。
ミシン縫いの特徴
ミシンの場合、針は布に対して直角に入ります。
手縫い針よりよりも太い針を使って、上糸と下糸等の2~4本の糸で、布をガッチリと挟むように縫います。
縫い糸が解けないように頑丈で細やかな縫い目なので、布への負担は避けられない縫い方です。
ミシン縫いは手縫いよりはやく仕立てることができます。
手縫いとミシン縫いの選び方のポイント
以上の手縫いとミシン縫いのそれぞれの特徴から、どちらで縫うか選ぶときは以下がポイントとなります。
- 布地を再利用したい場合
- 手間と時間がかかっても大丈夫な場合
⇩
手縫い
- 布地を再利用しなくてもいい場合
- はやく完成させたい場合
⇩
ミシン縫い
とは言っても、
はやく完成させたいし、布地も再利用したいなぁ
という場合もあると思います。
その場合は、手縫いもミシン縫いも、どちらが優れているということではないので、それぞれの仕立て方の違いとメリット・デメリットを知って、それらを踏また上で、自分に合う方を選ぶのがおすすめです。
手縫いとミシン縫いのメリット・デメリット
では、手縫いとミシン縫いのメリットとデメリットを見ていきましょう。
きものを手縫いとミシン縫いの2通りで仕立てると考え、それぞれのメリットとデメリットを簡潔にまとめたものが以下の表です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
手縫い |
|
|
ミシン縫い |
|
|
手縫いのメリットとデメリットの詳細
手縫いでは、縫いながら人の力の加減と縫い方を変えることによって、縫う場所ごとに縫い目の強度を調整します。そのため、着物が体の動きに馴染みやすいです。
きもの用の生地(反物)の幅は40cm前後なので、今より小柄だった日本人には丁度良くとも、現代人にとっては布幅をいっぱいに使わないと長さが足りない場合があります。
手縫いなら布端からマチが2~3mm程でも縫えるので、布幅をいっぱい使えます。そのため、好きな反物で好きなサイズに仕立てやすくなります。
手縫いでは針が布に対して斜めに入っていくので、糸に適度な遊びを持たせながら縫えます。
この遊びがあることによって、布が引っ張られた際に、布にかかる負担を逃がす代わりに、布が破れる前に縫い糸が切れるようになっています。
また、縫うときに布と針の角度が小さければ小さいほど、縫い目の強度は落ちますが、布地への損傷を少なくできます。
手縫いは布に対して斜めに入っていくので、直角に針が入るミシン縫いよりも、布地を傷めにくいです。
以上のように手縫いの場合は布地を傷めにくいので、布地を再利用して仕立て直しがしやすくなります。
しかし、ミシン縫いより手間も時間もかかります。
また、手縫いの場合は何度も洗ったり、着用時に激しい動きをすると、縫い糸が痛んで切れやすくなるので、縫い直すこともしばしばあります。
ミシン縫いのメリットとデメリットの詳細
ミシン縫いは、手縫いよりもはやく仕立てることができます。
また、ミシン縫いの場合は縫い目がとても頑丈というメリットがあります。
ミシンは1本の針に2~4本の糸を使って、布を上下の縫い糸でしっかりと挟むように縫い合わせます。このように複数の糸で縫合することによって、縫い目の強度を高めることができます。
縫うときに布と針の角度が直角のときに、縫い目の強度は最大となる1ので、ミシンでは布に対して直角に針が入っていくことも縫い目の強度を高める要因です。
しかし、ミシン縫いは手縫いと違って、どの部分であっても縫い目の強度は均一なので、着物が体の動きに馴染みにくいです。
また、ミシン縫いでは、マチが1cm程必要になるので、布幅をいっぱい使えず、幅の狭い反物を希望するサイズに仕立てられないこともあります。
縫い目の強度が高いことはメリットでもあり、デメリットでもあります。なぜなら、縫い目の強度が高いと、布が引っ張られたときに頑丈な縫い糸が解けず、布のほうが裂けてしまうからです。
また、ミシン針は手縫い針より太いため、布の織糸を切断しやすく、布目よりも大きな針穴を開けてしまいます。そのため、縫い糸を解くと、ミシン目の針穴がどうしても布に残ります。
布が引っ張られるたびに針穴が拡がるので、ミシン目のように大きな針穴は、布が裂けやすくなる原因にもなります。
つまり、ミシン縫いではどうしても布地を傷めてしまうため、仕立て直しが難しくなります。
手縫いとミシンでは実際にどのような違いが表れるか
手縫いとミシン縫いとで、実際にどのような違いが出てくるのか、具体例を挙げながらご紹介します。
具体例① 布に負荷がかかったときの違い
まず、布の負担がかかったときの違いについてです。お尻の部分に一番テンションのかかる着物で例を挙げます。
手縫いだと着用時の動きに合わせて縫い目がうまく伸縮するので、お尻部分の布が引っ張られても、その引っ張られる力を縫い目の伸縮によって逃がせます。
伸縮の限界以上の負荷がかかると、縫い糸が切れます。
ミシン縫いだと、縫い目が頑丈であるがゆえに、布が引っ張られるたびにミシン目の針穴が拡がり、最終的にはミシン目に沿って布が裂けます。
これは着物だけでなく、洋服でも同様のことが起きます。うちでは夫がよくスーツのズボンのお尻をパッカーンして帰ってきます…😅💦
具体例② 仕立てる時間の違い
次に、仕立てにかかる時間についてです。
縫う速度は個人差が大きいですが、手縫いの場合は早い人だと1~2日で1着の着物を縫い終わります。ミシン縫いなら数時間程で1着の着物を縫い上げます。
手縫いに慣れるとミシンよりも早く縫えるようになる人もいます。私に和裁を教えてくれた大叔母がそういう人でした。
自分で初めて着物を縫うとき、手縫いよりミシンに慣れているならば、ミシン縫いのほうが早く仕立てることができます。
また、自分で着物を縫う以外にも、着物屋さんで仕立ててもらう場合もご紹介します。
最近ではミシン縫製を海外に外注する着物屋さんも多いので、縫製時間の他にも海外への輸送時間もかかるため、手元に仕立て上がりの着物が届くまでの所要時間は、手縫いと大差ない場合もあります。
お店や和裁師さんにもよりますが、手縫いだと早いところで1週間、最も多いのが1~2ヶ月程です。
海外ミシン縫製だと2ヶ月程かかることが多く、輸送中のトラブル等が発生すると更に遅くなります。コロナが初めて大流行した頃は海外輸送にとても時間がかかり、仕立て上がった着物が着物屋さんに届くまで1年近く待ったこともありました。
したがって、着物屋さんで仕立ててもらう場合は、手縫いとミシン(特に海外ミシン縫製)では手元にきものが届くまで待つ時間が、ほとんど変わらないことが多いです。大きく変わるのは、仕立て料金です。手縫いのほうが手間と人件費がかかるので料金が高くなる場合が多いです。
着物屋さんで仕立ててもらう際は、それぞれの縫合のメリットとデメリットの他にも、納品の時期と料金の違いについてもしっかり確認した上で、「自分にとってこっちのほうが心地良いな」と思えるほうで仕立てることをおすすめします。
手縫いとミシンどちらがおすすめか
今回は、着物を手縫いとミシン縫いのどちらで縫えばいいのか選ぶときのポイントと、それぞれの特徴とメリット・デメリットをご紹介しました。
本記事のポイントをまとめると以下の通りです。
- 手縫いは仕立てる時間と手間がかかるが、布地への負担を少なくできるため、仕立て直ししやすい
- ミシン縫いははやく仕立てられるが、布地への負担が大きいため、仕立て直しが難しい
- それぞれの特徴と長短を踏まえた上で、自分にとって丁度良いほうを選ぶことが大切
以上のように、手縫いにもミシン縫いにも長短があるので、自分に合う方で縫うことがとても大切だと思っております。
自分で着物を縫うときは特に、とにもかくにも、『作ることが自分にとって快適で楽しいことが一番!』だと、私は思っております。作ることが大変だと途中で投げ出したくなり、未完成で終わってしまうこともあるからです。
自分にとって心地よい方法で、きもの作りを楽しんでいきましょう*゜
当WEBマガジン『布と暮らす365日』では、洋裁・和裁どちらの技法でも、きものの仕立て方について、わかりやすく載せています。
毎週投稿しておりますので、良かったら覗きにいらしてください🐋
この記事が、あなたの今後の着物作りの参考になれば、私はとても嬉しいです。
それでは、
またお会いできる日を楽しみにしております🍀