初めて浴衣や着物をつくろうと思ったとき、

どんな布を選べばいいの?
と迷う人はとても多いです。
実は、自分でつくる浴衣や着物に「これは絶対にダメ」という生地はありません。
ただし、はじめての一着は、布選びを間違えると縫いにくかったり、着心地が悪くなったりして、途中で挫折してしまうこともあります。
この記事では、
- 反物と洋服生地の違い
- 浴衣・着物に向く生地の考え方
- 初心者さんが失敗しにくい布選びの基準
- 初心者さんにおすすめの生地の具体例
を、和裁・洋裁どちらの視点も交えながら、やさしく解説します。
お気に入りの布で、楽しく一着仕立てるための参考にしてください。
初心者が失敗しにくい布選びのポイント

初めて浴衣や着物を縫うときは、次のポイントを意識すると失敗しにくくなります。
- 縫いやすい(適度な張りがあり、布目が詰まっている)
- 柄合わせがしやすい(無地・細かい柄・上下の向きがない柄)
- 重すぎない
- 手に入れやすい
- なにより、自分が気に入った布であること
反物と洋服生地の違い

反物と洋服生地の大きな違いは、布幅です。
反物について(特徴・メリット・デメリット)

反物は和服専用につくられた生地で、大きな特徴は狭い布幅と、数ミリ程のごく小さな「耳」が布幅の両端にあることです。
浴衣用の反物を「浴衣地」、着物用を「着尺地・着物地」、帯用を「帯地」と呼びます。
浴衣地や着物地の多くは、幅36〜40cm前後・長さ11.5〜12mで、1本(1反)単位で販売されています。

反物は、両端が「耳」になっています。耳の幅は3~4mm程です。
布端がほつれないため布端の始末が不要で、耳幅が狭いため布幅をそのまま使って仕立てることができます。
| 反物のメリット・デメリット | |
|---|---|
![]() メリット |
|
![]() デメリット |
|
反物での浴衣・着物つくりは、
- 和裁(手縫い)で仕立てたい人
- 着古したあとも生地を「くり回し」して再利用した人
におすすめです。
洋服生地について(特徴・メリット・デメリット)

洋服生地は、主に90cm・110cm・140cm幅で販売されています。反物に比べて流通量が多く、手芸店や生地屋で手軽に購入できます。

素材も柄も豊富で、布端の耳も生地によって様々です。
耳が不要な場合は切り落として、残った部分を使用します。

浴衣や着物を洋服生地で仕立てる場合は、上のイラストのように布幅を縦に裁ち、裁った布端の始末が必要になります。
| 洋服生地のメリット・デメリット | |
|---|---|
![]() メリット |
|
![]() デメリット |
|
洋服生地での浴衣・着物つくりは、
- ミシンで手早く仕立てたい人
- 素材やデザイン、体型にとらわれずに自由さを重視したい人
におすすめです。
浴衣・着物に使える生地の考え方

浴衣や着物は、肩からくるぶしまである長着のため、どうしても生地の重さが着心地に影響します。
厚手のオックス・キャンバス・分厚いデニムなどの地厚すぎる生地は、動きにくく、肌あたりもゴワゴワして不向きです。
キルティングや硬いレザーなどの硬い生地は体に馴染まず、甲冑のようなフォルムになってしまいます。
浴衣に向く生地の考え方

浴衣は夏向きの長着なので、肌触りと通気性の良い、涼しい生地が向いています。
着物に向く生地の考え方

着物の場合は、季節に適した生地が向いています。
| 夏 | 涼しい生地で、柄が大ぶり過ぎないもの (大ぶりな柄は浴衣に適します) |
| 春・秋 | 透けにくく、通気性の良い生地 |
| 冬 | ①温かい生地で単衣仕立て ②春・秋の生地に裏地を付けた袷仕立て (極寒時は、表地と裏地に綿を入れることも) |
初心者におすすめの生地・避けたい生地の具体例

初心者さんにおすすめの生地(難易度が低い生地)と、避けたいほうがいい生地(難易度が高い生地)について、浴衣と着物それぞれ具体的な生地の種類をご紹介します。
浴衣におすすめの生地と避けたい生地の具体例

浴衣をつくるときに、初心者さんにおすすめの生地と、避けたほうがいい生地は、反物と洋服生地それぞれ以下です。
(★はおすすめ度・縫いやすさの目安です。)
| 【制作難易度別】浴衣に適する生地 | ||
|---|---|---|
| おすすめの生地 (難易度が低い生地) | 避けたほうがいい生地 (難易度が高い生地) | |
| 反物 (浴衣地) | ・綿コーマ、綿紬 ★★★ ・綿麻 ★★ ・綿絽、綿紅梅、綿縮 ★ ※お子さま用には幅の狭い「手ぬぐい地」もおすすめ | しぼり加工された浴衣地 ※幅出しに専門的な下処理が必要 |
| 洋服生地 | 綿の定番平織り生地 ★★★ ・綿ブロード ・綿ボイル ・綿シーチング ※生地屋で最もよく見かける、安定したコットン生地 | 伸縮性のある生地 ・ニット ・ジャージ など 織り目が粗い生地 ・ガーゼ ・レース など 地厚生地 ポリエステルの生地 ※通気性・吸湿性の悪さと、縫いにくさの点で不向き |
| 表情のある天然素材系生地 ★★ ・綿スラブ ・リネン(麻) ・リネン混コットン | ||
| 凹凸・織り柄のある夏向け生地 ★ ・綿リップル ・しじら織り ・サッカー(シアサッカー) ・楊柳 ・綿ドビー ※涼しいが、縫うときに歪みやすい | ||
着物におすすめの生地と避けたい生地の具体例

着物をつくるときに、初心者さんにおすすめの生地と、避けたほうがいい生地は、反物と洋服生地それぞれ以下です。
(★はおすすめ度・縫いやすさの目安です。)
| 【制作難易度別】浴衣に適する生地 | ||
|---|---|---|
| おすすめの生地 (難易度が低い生地) | 避けたほうがいい生地 (難易度が高い生地) | |
| 反物 (浴衣地) | ・紬 (※大島以外) ・木綿(久留米絣・会津木綿など) ・綿麻、麻、紅梅 | ・大島紬 ・御召、縮緬、絞り加工された生地 ・礼装用の柄付け生地 |
| 洋服生地 | コットン(綿) ★★★ 春~秋…綿ブロード、綿シーチング など 冬…コーデュロイ、ネル など リネン(麻)、綿麻 ★★ サマーウール、ツイード ★ | 薄手過ぎる生地 ・極薄のローン ・薄いレーヨン ・キュプラ など 厚手過ぎる生地 ・オックス ・キャンバス ・厚手のデニム ・帆布 など 伸縮性のある生地 ・天竺 ・スムース ・ニット ・ジャージ など 硬い生地や重い生地 ・キルティング ・合皮 ・レザー など 光沢・滑りが強い生地 ・サテン ・シャンタン ・タフタ など ※アイロンが効きにくい |
洋服生地で着物をつくる場合、はじめは次の条件を満たすものを選ぶと安心です。
- 薄すぎない生地
- 厚すぎない生地
- 伸びすぎない生地
- 硬すぎない生地
- 重すぎない生地
柄の選び方

浴衣や着物は、前身頃と後身頃を続けて裁つため、
- 大ぶりで規則的な柄
- 柄に上下の向きがあるもの
は、柄合わせが難しくなるので、難易度が上がります。

はじめのうちは
- 無地柄
- または、細かい柄で上下の向きがない柄
がおすすめです。

そして、一番大切なのは自分が気に入った柄であることです。
お気に入りの布で仕立てることで、最後まで楽しく縫い上げることができます。
まとめ│「失敗しにくい生地」を選ぶ基準

初心者さんが失敗しにくい布選びの基準は、以下の5つです。
- 縫いやすい(適度な張りがあり、布目が詰まっている)
- 柄合わせがしやすい(無地・細かい柄・上下の向きがない柄)
- 重すぎない
- 手に入れやすい
- なにより、自分が気に入った布であること
ぜひお気に入りの布で、最初の一着づくりにチャレンジしてみてください。
それでは、
またお会いできる日を楽しみにしております🍀




