採寸から割り出した出来上がり寸法が決まったら、次は浴衣の各パーツの裁ち切り寸法を計算します。裁ち切り寸法とは、出来上がり寸法に縫い代を加えて、実際に布を裁断するための長さのことです。
和裁ではこの裁ち切り寸法をもとに布を直線裁ちするため、正しく計算しておくことが大切です。
この記事では、身頃に「内揚げ」がない最もシンプルな形の女性用浴衣の裁ち切り寸法の割り出し方を解説します。(内揚げがある浴衣の裁ち切り寸法については別記事で解説予定です。)
また、この記事では、出来上がり寸法を入力するだけで裁ち切り寸法が分かる自動計算ツールも用意しましたので、ぜひご活用ください。
- 自動計算ツール
▶裁ち切り寸法をパッと計算したい方向け - 裁ち切り寸法の詳しい計算方法
▶詳しい計算式で深く理解したい方向け
浴衣の裁ち切り寸法について

裁ち切り寸法とは、出来上がり寸法に縫い代を加えて布を裁断するための長さです。
和裁ではこの裁ち切り寸法をもとに布を直線裁ちします。
この裁ち切り寸法が分かると、浴衣1着分を作るのに必要な布の長さ(用尺)を正確に決めていくことができます。
どんな人が「内揚げがない浴衣」を作るのがおすすめか

内揚げがないシンプルな形の浴衣は
- 仕立てる工程が最も簡単
- 必要な布地量が少ない
- 帯の内側がごわごわしにくく、涼しく着られる
という特徴があるため、次のような方におすすめです。
| 揚げがない浴衣を作るのがおすすめの人 | ・初めて浴衣を仕立てる ・なるべく簡単に作りたい ・布を節約したい ▶この記事がおすすめ! |
| 揚げがある浴衣を作るのがおすすめの人 | ・サイズ直ししやすい浴衣を作りたい ・本格的な和裁仕様にしたい ▶揚げがある浴衣の作り方ページへ(近日公開予定) |
浴衣の各パーツの裁ち切り寸法を求める必要性

上の図のように、女性用の浴衣は次の8枚の長方形で構成されています。
- 身頃 …2枚
- 袖 …2枚
- 衽 …2枚
- 地衿(「本衿」とも呼びます) …1枚
- 共衿(「掛け衿」とも呼びます) …1枚
そのため、1枚の生地を8枚に裁ち分けるには、あらかじめ各パーツの裁ち切り寸法を割り出しておく必要があります。
女性用浴衣の裁ち切り寸法 自動計算ツール
下のフォームに出来上がり寸法を入力すると、内揚げがないタイプの女性用浴衣の裁ち切り寸法を自動で計算できます。
和裁初心者でも簡単に出来上がり寸法を確認できますので、ぜひご活用ください。
浴衣の裁ち切り寸法 自動計算
生地タイプを選択してください
出来上がり寸法を入力してください
出来上がり寸法の出し方についてはこちらの記事↓をご覧ください。
【女性用浴衣】裁ち切り寸法の計算方法|和裁初心者向け(浴衣の作り方)
縦方向(丈)の裁ち切り寸法の計算方法

肩から裾への方向を縦方向(丈)とします。縦方向の裁ち切り寸法の計算方法は以下です。
| 各部分 | 計算式 |
| 裁ち切り袖丈 (図の①) | 袖丈+縫い代3cm 例:裁ち切り袖丈=49cm+3cm=52cm |
| 裁ち切り身頃丈 (図の②) | 身丈+縫い代2cm 例:裁ち切り身頃丈=160cm+2cm=162cm |
| 裁ち切り衽下がり | 衽下がり-縫い代3cm 例:裁ち切り衽下がり=23cm-3cm=20cm |
| 裁ち切り衽丈 (図の③) | 裁ち切り身丈-裁ち切り衽下がり 例:裁ち切り衽丈=162cm-20cm=142cm |
| 裁ち切り地衿丈 (図の⑤) | (身丈-衿下+衿肩まわり11cm+縫い代5cm)×2 例:裁ち切り地衿丈=(160cm-80cm+11cm+5cm)×2=192cm |
| 裁ち切り共衿丈 (図の④) | (衿肩まわり11cm+衽下がり+10cm+縫い代2cm)×2 例:裁ち切り共衿丈=(11cm+23cm+10cm+2cm)×2=92cm |
計算式の中の「袖丈」や「身丈」などの各寸法は、出来上がり寸法を使います。
出来上がり寸法の出し方についてはこちらの記事↓をご覧ください。
横方向(幅)の裁ち切り寸法の計算方法

横方向(幅)の裁ち切り寸法の計算方法は以下です。
| 各部分 | 計算式 |
| 裁ち切り袖幅 (図のⒶ) | 袖幅+縫い代4cm 例:裁ち切り袖幅=34cm+4cm=38cm |
| 裁ち切り身頃幅 (図のⒷ) | ▼浴衣地の場合 後幅+縫い代2cm 例:裁ち切り身頃幅=30cm+2cm=32cm |
| ▼洋服地の場合 後幅+縫い代4cm 例:裁ち切り身頃幅=30cm+4cm=34cm | |
| 裁ち切り衽幅 (図のⒸ) | 衽幅+縫い代3cm 例:裁ち切り衽幅=15cm-3cm=18cm |
| 裁ち切り衿幅 (図のⒹ) | 衿先の衿幅×2+縫い代2cm 例:裁ち切り衿幅=7.5cm-2cm=9.5cm |
計算式の中の「袖幅」や「後幅」などの各寸法は、出来上がり寸法を使います。
出来上がり寸法の出し方についてはこちらの記事↓をご覧ください。
洋服地と浴衣地の裁ち切り寸法の違い

浴衣地は布幅が約36~42cmの反物です。それに対して、洋服地は80~180cmと様々な布幅があります。
布幅の違いによって、洋服地と浴衣地で裁つ回数も縫い方も違ってくるので、縫い代も裁ち切り寸法を計算するパーツ数も違います。
洋服生地で浴衣を作る場合

上の図のように、洋服生地は
- 布幅
- 裁断線の配置
が自由なため、裁ち切り寸法は各パーツの丈も幅も計算しておくと失敗が少なくなります。
浴衣地(反物)で浴衣を作る場合

浴衣地(反物)では、上の図のように各パーツを配置して、8枚に切り分けます。
縦方向(丈)の裁ち切り寸法について

衿(地衿+共衿)丈はだいたい衽丈の2倍の長さになるので、浴衣地では上の図のように切り分けます。
そのため、浴衣地で作る場合は地衿丈・共衿丈を計算しないことが多いです。
横方向(幅)の裁ち切り寸法について

浴衣地で浴衣を作る場合、用いる浴衣地の布幅で裄(袖幅+肩幅)が足りるなら、その他パーツの幅の計算は基本的に不要です。
浴衣地(反物)│裄が出せる布幅の目安

用いる浴衣地(反物)の布幅で、裄が足りるかどうか調べる方法があります。
それが「最大裄」と「実用的な裄」です。
布幅いっぱい使って出せる裄(最大裄)の計算方法
布幅いっぱいまで使って出せる裄(最大裄)の計算は、
最大裄=(布幅−縫い代2cm)×2
ですが、この寸法計算だと、肩幅と袖幅が同じ長さになります。
そうすると、着用時に胸囲や脇に布が余り、ダボついたルーズな着姿になってしまうことがあります。
綺麗に着用しやすい裄(実用的な裄)の計算方法
胸囲や脇に余る布は着付けで多少は解消できますが、着付けに不慣れな方やぴったりマイサイズの浴衣を作りたい方には最大裄で仕立てずに、袖幅を肩幅より約2cm長くすることをおすすめします。
(現代の和裁でも袖幅を肩幅より2cm程長くするのが一般的です。)
よって、綺麗に着用しやすい実用的な裄は、
実用的な裄=(布幅-縫い代2cm)×2-2cm
までとなります。
裄が足りない場合の対処方法
用意した生地の布幅が短すぎてうまく裄を出ない場合は、
- 袖に継ぎ布を入れる
- 布幅がもっと長い生地を使う
ことで解決できます。
よくある質問
Q. 裁ち切り寸法とは何ですか?
裁ち切り寸法とは、出来上がり寸法に縫い代を加えた、布を裁断するための寸法です。
和裁ではこの寸法をもとに直線裁ちで各パーツを切り分けます。
Q. 浴衣は必ず8枚に裁断しますか?
一般的な仕立てでは、身頃・袖・衽・地衿・共衿の合計8枚のパーツで構成されます。
ただし布幅が広い洋服生地を使う場合や、生地の長さが足りないときなど、裁断方法を変える仕立て方もあります。
Q. 洋服生地でも浴衣は作れますか?
作ることができます。
ただし布幅が反物(浴衣地)と異なるため、裁ち切り寸法・裁断方法・縫い方を調整する必要があります。
まとめ│布を用意する前に裁ち切り寸法を出しておく
女性用浴衣の裁ち切り寸法は、出来上がり寸法に縫い代を加えて計算します。
裁ち切り寸法が分かれば、浴衣を仕立てるために必要な布の長さ(用尺)も正確に計算できるので、布を用意する前にしっかり把握しておくと失敗がないです。
浴衣を作り始める前にやることリスト(仕立ての準備)
浴衣を作るとき、次のような流れで仕立ての準備を進めます。
(仕立ての準備)
- ステップ1体を採寸する
- ステップ2出来上がり寸法を決める
- ステップ3裁ち切り寸法を計算する
⭐この記事はここです
- ステップ4必要な布地量(用尺)を計算する
▶解説記事は近日公開予定
- ステップ5布を用意する
次の記事では、今回計算した裁ち切り寸法をもとに 浴衣1着分に必要な布地量(用尺)の計算方法 を解説します。
- 浴衣の用尺の計算方法(※近日公開予定)
- 採寸する場所と採寸方法
- 女性用浴衣の出来上がり寸法の決め方




